毎年10月に開かれる競輪のGI競走の一つ「寛仁親王牌・世界選手権記念」。
第28回大会は、2019年10月11日(金)〜15日(火)まで、群馬県前橋市にある前橋競輪場で行われました。
今回の記事では、第28回寛仁親王牌・世界選手権記念の決勝の出場選手・ライン予想・オッズ分析レース結果などをご紹介します。
寛仁親王牌・世界選手権記念とは?
寛仁親王牌・世界選手権記念とは、競輪のGI競走で通称「親王牌」。
大会のタイトルになっている寬仁親王牌は、寬仁親王が1990年に日本で開催された「世界選手権自転車競技大会」の名誉総裁だったことに由来します。
レースの出場資格は?
寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの出場選手は、自転車競技で活躍する選手を中心に選抜されています。
以下の資格順位により正選手108名、補欠選手8名を選抜。なお、当年2月〜7月(6カ月)、国際大会では前年8月〜当年7月(12カ月)の選考期間を受け8月に選ばれます。
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- S級S班に在籍
- 過去3回以上優勝した者(開催時にS級1班所属が条件)
- 直近の世界選手権自転車競技大会トラック競技出場者
- 世界選手権に準ずる国際大会トラック競技で1〜3位となった者
- 直近のアジア自転車競技選手権大会でケイリン、スプリントで1位となった者
- 過去のオリンピック自転車競技トラック種目メダリスト
ただし、全日本プロ選手権自転車競技大会トラック競技出場かつ開催時S級1班所属が条件 - 選手選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者(開催時S級1班所属が条件)
- 全プロトラック競技でケイリン以外の競技で1~3位となった者とケイリンの決勝出場者全員
- 全プロトラック競技出場者から平均競走得点上位者を順次選抜
- 残余がある場合は各地区のプロ選手権自転車競技大会トラック競技出場者から平均競走得点を勘案し推薦
上記に加え、最低出走回数が24出走を満たす選手が選抜されます。
賞金は?
寛仁親王牌・世界選手権記念の賞金は、次のように着順で異なります。次の表に、決勝戦の賞金額をまとめました。
着順 | 金額 |
1着 | 2,850万円(2,940万円) |
2着 | 1,467万円(1,507万円) |
3着 | 957万円(981万円) |
4着 | 693万円 |
5着 | 570万円 |
6着 | 478万円 |
7着 | 387万円 |
8着 | 356万円 |
9着 | 336万円 |
※( )内は副賞(1〜3着に授与)を含んだ金額
決勝の出場選手・ライン予想・オッズ分析
地区や各選手のコメントから、決勝戦は、
- 小松崎選手、和田選手の東日本ライン(6-4)
- 浅井選手の単騎(9)
- 三谷選手、村上選手の近畿ライン(1-5)
- 木暮選手の単騎(3)
- 清水選手、中川選手、園田選手の九州ライン(2-7-8)
という細切れ戦(通常3つのラインが、4つ以上できるレース)のライン予想となりました。
また、オッズに関しては
- 1番人気:7-2-8(29.2倍)
- 2番人気:7-2-9(39.5倍)
- 3番人気:7-2-3(41.8倍)
となっており、熊本の中川誠一郎選手 (7)、山口の清水裕友選手(2)が人気の中心となっていました。
今大会は、2020年の東京オリンピック出場を目指す脇本雄太選手・新田祐大選手・深谷知広選手らは、ナショナルチームでの活動を優先して不参加。
そして、やはり全日本選抜、高松宮記念杯に続き2019年3つ目のG1制覇に挑む中川誠一郎選手に注目が集まりますが、実際のレース展開がどうなったのか、見ていきましょう!
決勝のレース結果は?
寛仁親王牌・世界選手権記念の決勝は、村上 博幸選手が三谷選手との完璧な連携を見せて優勝を手にしました。
村上選手、おめでとうございます!
それでは、決勝戦を振り返りましょう。
スタートダッシュが得意な和田選手(4)が号砲で飛び出して前を取り、三谷選手(1)、外から清水選手(2)が並走で続きます。
最初の並びは、小松崎選手(6)の前受けから和田選手(4)の東日本ライン、三谷選手(1)-村上選手(5)の近畿ライン、単騎の木暮選手(3)、清水選手(2)-中川選手(7)-園田選手(8)の九州ライン、単騎の浅井選手(9)で周回します。
青板周回の1センターから動いた清水選手(2)がバック過ぎで先頭に立ちます。その後、なんと誘導との間を空けていた小松崎選手(6)が中川選手(7)に対しイン粘りしてライン並走を行います。
そして、浅井選手(9)、木暮選手(3)、三谷選手(1)-村上選手(5)の近畿ラインが続きます。
ラスト1周半で清水選手(2)が一旦ペースを落として流しているところを、近畿ライン三谷選手(1)-村上選手(5)がカマして来ます。三谷選手(1)は赤板2角からカマして、ジャン(打鐘)3角で先頭に躍り出ました。
近畿ライン(1-5)の仕掛けに飛びついた清水選手(2)の後ろでは、外側で並走している中川を抑え小松崎が4番手を奪取。
残り1周となったとき、この動きとほぼ同時に中川選手(7)は競りを嫌って後退していき、大きく離れた9番手へ。
また、園田選手(8)も、木暮選手(3)との位置取り争いに敗れ8番手になってしまいます。
浅井選手(9)の6番手バック捲りは、4番手にいた小松崎選手(6)の牽制により不発に。
当初は2, 3車身離れながらも3番手をキープしていた清水選手(2)は、最終3角で村上選手(5)に追い付きますが仕掛けず、直線勝負へ入ります。
番手絶好の村上選手(5)が直線に入る前に、ジャン前で緩み切った三谷選手を一気に叩くように車間を切ってゴール手前で差しました。
村上選手(5)は寛仁親王牌・世界選手権記念初優勝、5年ぶりのG1勝利。続く2着には三谷選手(1)、3着は1/8車輪差で清水選手(2)が入りました。
今回の決勝戦は、三谷選手との完璧な連携を見せた村上選手に軍配が上がったレースでした。
村上 博幸選手、5年ぶりのG1勝利おめでとうございます!
レースのリプレイ動画も載せておくので、気になる方はチェックしてみてください。
競輪で中穴を狙うポイントは?
レース結果はこの通りで、3連単の55番人気で168.9倍という結果でした。
- 中川選手(7)
- 清水選手(2)
- 園田選手(8)
以上の九州ラインの上位入賞が濃厚でしたが、実際には村上選手、三谷選手の近畿ライン(5-1)が1、2着に入りました。
その結果、オッズは「7-2-8(29.2倍)」よりも跳ねて「5-1-2(168.9倍)」となりました。
このように、競輪で中穴を狙う「強いラインの本命選手だけではなく、強いライン中の目立たない選手も三連単の車券に絡める」というテクニックが活用できます。
今回は、絡まれると滅法弱くなってしまう中川選手(7)や決勝戦までのレースで流れが良くなってきた三谷選手(1)と村上選手(5)の近畿ラインがあった結果、このようなうまみのあるオッズになったと言えますね。
買い目を数枚足すだけで高配当が期待できるので、ぜひ予想の際はテクニックを使ってみましょう!
まとめ
10月14日までの開催予定でしたが、「令和元年台風第19号」の影響で2日目が順延され、15日までとなった2019年第28回大会。村上 博幸選手が、「差し」を決めて見事優勝を果たしました。
次回は2020年10月15日〜18日、5年連続21度目の前橋競輪場で開かれます。
こちらもチェックしていきましょう!
【参考記事】